pristineとは、原始の、手付かずの、初期、純粋といった意味。自分の核の部分の存在を見つけて、自分自身がその存在を許すというテーマにしました。深い森の中に突然ぽっかりと空が開けた場所があり、そこに咲く白い花に出会うというお話。
目を閉じれば 優しい闇と 安らぎ灯す月 今日見上げたあの眼差しは 変わらずただ見つめている 水面に浮かぶ白い花の蕾が 天上の蒼い光を浴びて そっと今、開いてゆく 静かに広がる香りに 呼び覚まされるように 見える景色を色付けてゆく わたしも空気の一部になり その花の色を受け止める おごそかに奏でる音色は 絶えることなく 高く低く弾むように 花開く一瞬にはしゃぐように 満ち溢れる喜びに 心響き合う 荷を降ろし身体を横たえ 終わりも決めず 目を閉じて その旋律に身を委ねた 夢の中夢を見る 背中の翼に気付いて ゆっくりと羽ばたいてみる 軽やかに風に乗れば 蒼い光を辿り森を抜ける
虹色に揺らぐ色 繰り返し紡ぐ光 緩やかに翼広げ 羽ばたいて波に身を委ねよう 見上げれば無数の星達が あなたを導いている 描くように繋いだ道筋が あなたである意味を生み出す 心のままに選ぶことを どうか躊躇わないで 辿りつきたい場所への地図を あなたはもう知っているから 何かを手にしたくて迷うことを どうか怖れないで 闇雲に集めた欠片のなかにも あなたの色は息づいてゆく 迷うことは あなたを知る旅の始まり 遠く深く広がりながら 魂が還る場所へと続く あなただけが創れる世界へ あなたの世界を誰も汚せはしない 壊されることに怯えて 頑なに守ることも 守るために違う世界を脅かすことも 必要のないこと あなたが集めた欠片が あなたにとってかけがえのない宝物なら いつまでも大切にしてあげていい
迷い辿り着いた森の奥 白い薔薇に守られた小さな泉 水辺を照らす月は 蒼い安らぎを灯す 触れた指が水面を揺らす ひとつ、ふたつ、波紋を作れば それぞれの環が 互いを受け止めるように 溶け合いやがて 同じ星空へ消えた 今、出逢えた小さな喜びを 心に満たし愛を紡ぐ 魂を震わせ広がる波紋は ゆるやかに届いていく 人はみな 惑星(ほし)の環(わ)継ぎ目 宇宙(そら)の数だけ 生まれる色があること
いつもの丘の上 夕闇に包まれた街が 静かにぬくもりを灯している ひとつ息を吐くと つむじ風が葉音をたて 足元から丘を駆け下りた 波紋のように 草原(くさはら)を揺らし やがて次の風に命を託す
ちいさな魂でも 光は失われない 調和 溶け合う 星の光は同じ朝に迎えられる 波紋はゆるやかに 響き合い溶け合う 広がること許し合う 続く道は同じ場所へ繋がる 行く道で孤独を知ろうとも 旅人はあなた独りではない その腕にだかれて 静寂が穏やかに流れる あなたがあなたで在ることを許そう あなたの紡ぐ呼吸が あなたを表し あなたの世界に色を生み出す
(2015年始〜4月頃)