禅宗の教えを読んで自分なりに噛み砕いてみながら書いたもの。個人的に瞑想とマインドフルネスをやっていたのでその要素も入っています。
迫りくる暗闇を 与えられた木の枝で 闇雲に払いながら 痺れ始めた脚に気づこうとせず 出口だけを求めて あとどれだけ地図を捲るのだろう 傷つく事に怯えて 手を伸ばし 目を凝らし 我武者羅に問いかけ 佇む旅人は膝を折る あなたは何時迄 渦に抗い流され彷徨うのか あなたは何時迄 見飽きた殻の中で ただ導きを待つのか 通り過ぎた花の香りを 思い出すこともなく 誰かが敷いたレールを 我先にと奪い合う 流れゆく景色の中に 夢の行方は 見つかるはずもない 煌びやかな宝石に 目が眩み動けないならば 眼(まなこ)を閉じて 届く光の温かさを ただ確かめればいい 感じる息吹 身体を打つ律動 その源は何処からくるのか 己の胸に耳を澄ませばいい 今足元を照らす微かな光を 灯しているのは誰なのか 正しさも間違いも 同じ箱の内と外 終わりのない謎かけに いつまでしがみつくのか その身で覚えたものだけが その迷いを打ち砕く 雪の冷たさに触れて 手の温もりを知る 雨の柔らかさに触れて 時流の優しさを知る 噛み砕いた哀しみで堅牢に 噛み締めた喜びで豊穣に 心を満たし続けよう やがてあなたの宇宙(そら)に それぞれの星は瞬き 幾多の光は 深奥の闇さえ怖れない 確かな灯台になる 照らす方向を決めているのが 己自身ならば 今感じる輝きを 躊躇わずに誇ればいい 花を植える事が出来るのが 己自身ならば 泥濘むその道にも 答えは見つけられる
(2014.12)