ひとつ山を越えたら

ひとつ
山を越えたら

雲の向こうに
小さな屋根がたくさん見えた

その屋根のすき間を
細い道がたくさん たくさん
にょろにょろと
ギザギザと
はりめぐっていた

あそこに自分がいたのなら
なんてちっぽけ

ここにいる自分には
もうそれは見えないけれど


前を見ると
まだ道があった

空を見上げたら
大きな虹があった


隣りを見ると
君がいた

僕らは はぐれずにここに来れた

それはなんて素敵なことだろう

(2001.11)